マーマレード世界大会とは?

What is World Marmalade Awards and Festival in Japan

マーマレード世界大会とは?

2005年、イギリス・湖水地方北に位置するダルメイン城でマーマレード作りの腕を競う品評会が開催されました。ダルメイン城、城主のイギリスの伝統的なマーマレード文化を継承して欲しいとの願いから始まった品評会は、世界的な大会へと発展していきます。

世界大会の経緯

ロンドンから北へ特急列車で3時間、私たちはペンリス駅に降り立ちました。激しい雨と風の中でした。

英国湖水地方といっても、ペンリスの町はピーターラビットの住むウインダミアよりずっと北の方、もう少し進むとスコットランドとの国境に達するところにあります。

駅からタクシーに乗り換えて15分ほど走り、見渡す限りの緑の丘の真ん中にひときわ目立つダルメインのお屋敷を見つけました。

18世紀半ばに改修されて以来、その威厳ある容姿を守り続けているというお屋敷の応接室には、オシャレに着飾ったたくさんの人たちが集まって、グラス片手にワイワイと盛り上がっていました。テーブルの上には、何百もの瓶が並んでいます。

そう、このお屋敷こそが、世界マーマレード祭りの舞台なのです。2017年3月、私たちはこの世界大会に参加するため、ダルメインへやってきたのでした。

13回目の開催となったこの年の世界マーマレード祭りは、私たち日本人にとって特別な大会でした。年々増え続ける日本からの出品者を歓迎するため、鶴岡駐英日本大使(当時)がゲストとして招かれ、華やかな着物姿の日本の受賞者たちとともに、お祭りの主役となったのです。

そして、お屋敷の女主人であり、世界マーマレード祭りの創始者であるジェーンさんから、「この世界マーマレード祭りを、ぜひとも日本で開催したい!」という熱い思いが語られました。これをきっかけに私たちは、ジェーンさんの願いを八幡浜で実現したいと考え、誘致活動を始めました。

それから1年後の2018年3月、私たちは再びペンリス駅に降り立ちました。季節外れの雪が降り積もっていました。今回は、大城八幡浜市長と市役所・市議会の皆さんもいっしょでした。私たちの活動が実を結んだのです。

ジェーンさんは、八幡浜市長のダルメイン来訪に大喜びでした。歓迎のアフタヌーンティーが催され、その場でジェーンさんと市長は固い握手を交わしました。日本初の世界マーマレード祭りが八幡浜で開催されることが決まった瞬間でした。

八幡浜市に実行委員会が立ち上がり、私たちもその一員として裏方作業に取り組みました。八幡浜と英国を結ぶ初のイベントとあって、様々な困難がありましたが、多くの市民の皆様のご協力のおかげで、2019年5月、第1回世界マーマレード祭り日本大会の開催が実現しました。ジェーンさんも遠くダルメインからやって来られ、大会は大成功を収めました。

ところで、英国発の世界大会と聞いて、マーマレード祭りがどんなに格式高いイベントかと皆さん想像されるでしょう。実は、意外にもとってもかわいらしいお祭りなんです。

もう一度、ダルメインのお屋敷を覗いてみましょう。応接室には地元の名士や受賞者たちが集まってプロの部の表彰式の開会を待っています。表彰式の会場はどこかな?とキョロキョロしていたら、部屋の向こう側から、主催者のダンさんが「そろそろ始めるよ~」と声を張り上げました。会場はこの応接室だったのです。名前を呼ばれた受賞者が人混みを掻き分けて出てきて、表彰状を受け取ります。私はいつの間にか、記念撮影のカメラマンに指名されていました。

翌朝行われたアマチュアの部の表彰式も傑作でした。今度は、お屋敷入口の階段踊り場が会場です。地元の小学生たちが踊り場に上って「マーマレード作りは楽しいな」なんて歌で表彰式が始まります。初心者部門とか男性作り手部門とか、ユニークな受賞者が次々と発表され、前庭に集まった地元の人たちから暖かい拍手が贈られていました。

ペンリスの町でも、商工会議所の協賛でオレンジ祭りが同時開催されています。大通りにたくさんの屋台が出て賑やかです。路上に矢印のマークを見つけて辿って行くと、地元のお菓子屋さんがマーマレードを使った特製ケーキを展示していました。

ダルメインの世界マーマレード祭りが、いかに手作り感あふれる地元密着型のイベントかおわかりいただけたでしょうか。私たちは、八幡浜で開催される日本大会にも、ダルメインのほっこりした温かさを受け継いでいきたいとの思いで頑張っています。

2020年の第2回日本大会は残念ながら新型コロナの影響で中止となってしまいましたが、実行委員会は2021年に向けて動き始めています。私たちも第3回日本大会が八幡浜の皆さんに愛される素晴らしい大会となるよう尽力してまいります。