英国だより(August2022)

ダルメイン・マーマレード・フェスティバル2022 授賞式

こんにちは、イギリス在住のマーマレード特派員Tommyです。

少し前の話になりますが、2022年4月ダルメインマーマレードフェスティバルの授賞式にお邪魔しました。

ダルメイン・マーマレード・フェスティバル2022 授賞式

今年はマイク・ランソンさんの「サイダーマーマレード カルバドス風味」が最優秀賞を受賞、フォートナム&メイソンで販売されています。アップルサイダー(お酒)で柑橘皮を煮込み最後にカルバドスで風味をつけたマーマレードは蓋を開けた時の独特の香りが楽しめます。昨年の金賞受賞マーマレードのフレッシュで爽やかな風味比べると、お酒が入ったこのマーマレードはコクが深くてまろやかな感じです。

サイダーマーマレード カルバドス風味

 

料理研究家 パム・コービンさん

マーマレードフェスティバルのイベント「マーマレード・クエスチョンタイム」に参加しました。フェスティバルに来た観客がパネルにマーマレードに関する質問をしてご意見を聞く30分程度のイベントですが、マーマレード愛好家のたくさんの質問が飛び交います。パネルのジャム・プリザーブの料理研究家パム・コービンさんは、英国のテレビ料理番組やジャム企業のコンサルタントをするジャムの第一人者。新しいレシピ本を出されたと聞き、ダルメインの会場で販売されていたものを早速購入しました。

料理研究家 パム・コービンさん

PAM THE JAM The book of preserve(パム・ザ・ジャム 保存食の本) 

この本にはジャムやマーマレードのほか、保存食作りの基本が細かく書かれています。レシピの一つ一つにもパムさんの短いコメントが載せられていて、カラフルな挿絵と写真が美しい、バイブルのようなレシピ本。

パム・ザ・ジャム 保存食の本

パムさんの許可を得て特別にマーマレードレシピをご紹介させていただくことになりました。

パム・ザ・ジャム 保存食の本

パムさんにおすすめのレシピは?と聞くと、シェリー・マーマレードがいいのではというお答えをいただきました。

「このレシピは通常のマーマレードよりも甘味を控えているので日本人の嗜好に合うのではないかしら、それにシェリーを日本酒などに変えることもできます」・・・ぜひお試しください!

シェリー・マーマレード

 


セビルオレンジ&シェリー マーマレード

 

柑橘皮スライス法 所要時間・3日間

300mlの瓶x4個分

 

セビル オレンジとシェリーはどちらもスペイン南部が原産地。同じ土壌、同じ太陽の光から生まれた材料の組み合わせなので、当然相性もよく、バランスの良い口当たりと、 柔らかいピールのほろ苦い甘味が特徴。太陽がたっぷり溶け込んだ、元気の出る「ビタミン剤」のようなマーマレードです。

このレシピでは、フルーツの皮をスライスする方法を使い、 3 日間に工程に分けて作ります。 柑橘の皮を一晩砂糖を加えた液に浸しておくことで、柔らかくなった皮に砂糖が吸収され、皮の比重が重くなるので、皮が浮き上がることがなくビンの中に均一に広がるという利点があります。

おすすめのシェリーは辛口マンサニージャかオロロソですが、ご自宅にあるシェリーなら何でも使用できます。

セビルオレンジ 1kg

レモン汁 50ml(レモン1~2個分)

粗塩 小さじ1

水 1.5リットル

グラニュー糖  1kg

ドライシェリー  100ml

 

1日目

オレンジを丸ごとよく洗い、上部のヘタを取り除きます。 半分に切りジュース絞って大きなボウルに入れておきます。 種と薄皮を皮から取り、ゼリーバッグに入れておきます。 (ゼリーバッグがなければ25 x 25cm の正方形の布巾やガーゼをバッグ状にして中身が出ないようにしっかりと結びます。)

 

よく切れるナイフを使って、皮をお好みの厚さにスライスします。 オレンジの絞り汁を入れたボウルにレモン汁、塩、計量した水をいれ、スライスした皮とゼリーバッグ(タネと薄皮)を加えます。 カバーをして、24時間ねかせます。

 

2日目

ボウルからゼリーバッグを取り出し、しっかりと絞ってタネと薄皮からペクチンを抽出します。

ボウルの中身を大きな鍋に移し、ふたまたはホイルで鍋を覆います。鍋を中火にかけ、皮が親指の間で押しつぶされるほど柔らかくなるまで約1.5時間火にかけます。 火から下ろして中身の分量を計量カップで測ります。(この段階で鍋の中身の総量が約 1.5 リットルになっています)

 

中身を鍋に戻し、 砂糖を3分の1ずつ加え、その都度よくかき混ぜて溶かします。 再び5分ほど煮込んだら火を止め、蓋をしてそのまま24時間放置します。

 

3日目

ビンとフタを滅菌しておきます。 マーマレードがゼリー状に固まっているかテストするため、小皿とスプーンを冷蔵庫で冷やしておきます (注1)。

 

鍋を火に戻し、常にかき混ぜながら、10 ~ 12 分間、温度計を使っている場合はマーマレードが固まる温度(注2)に達するまで沸騰させます。 火からおろし、シェリー酒を混ぜます。 数分間休ませてから、マーマレードをビンの上まで注ぎ、すぐに蓋を閉めて密閉します。 ビンを 1 分ほど逆さにして、フタを殺菌し、ビンを上に向けて冷まします。

 

乾燥した直射日光の当たらない場所に保管し、2 年以内に使用してください。 開封後は冷暗所に保管し、4ヶ月以内にご使用ください。

 

注1:ジェル状テスト(リンクルテスト)の方法

ジャム、セリー、マーマレード作りは「強火で煮る」作業から始まり、ペクチン、酸、砂糖がちょうどよく調和した「その時」にジェル状に「固まる」のです。長く煮すぎてしまいがちですが、ジャムは鍋の中で固まるのではなくビンの中で固まるということを覚えておいてください(中略)

ジェル状テストには陶器か金属のお皿を数枚と大きめのステンレスのスプーンを冷蔵庫か冷凍庫に入れておきます。マーマレードが出来上がると、ぶくぶくとした大きな泡が消えて、透明で輝きのある液体の表面に小さな泡がゆっくりと弾けるように見えます。この段階で鍋を火からおろします。(中略)

鍋の中身を少量スプーンで冷やした小皿にとりしばらく置いて冷まします。その液体を指で押した時にジェル状に固まっていれば出来上がりです。(中略)もしまだ液状の場合は鍋をコンロに戻して数分煮込み、別のお皿を使ってテストします。

 

注2:温度計を使う方法

伝統的な方法では英国では専用の温度計を使います。(中略)通常マーマレードがジェル化する温度は104.5度です。

 

 

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